猫話4  にゃあ

にゃあ


    ゃあの頭に腫瘍が見つかる。5月11日の事だ。

4年前にゃあを家に迎える時、血液検査をした。
にゃあはFIV(猫免疫不全ウイルス)キャリアだった。

今年は暖かくなってもお店に行く気配がない。自分のベッドで
寝てばかり。何となく元気もない。
にゃあ、何か変・・・。
やがてご飯も食べなくなる。エイズが進行したのでは?
とそればかり気になっていた。
食欲はすぐに戻り、ほっと一安心。でも、その後もいろいろな
心配な症状が現れる。原因がわからない。
にゃあ、一体どうしちゃったんだろう!?
原因が解らないまま不安でいてもどうにもならないし、
市内にある大学の病院で検査を受ける事にした。

ゃあの断層写真・・・右目の奥に腫瘍がある。口が開かないのも、
目が突出してきたのもこの腫瘍が原因。もうかなりの大きさになっている。
脳の周辺にまで進行していて、いつ痙攣発作が起きてもおかしくない状態との事だった。手術はできないし、恐らく抗ガン剤治療も難しいだろうと。
もしかすると?という不安もあったけれど、こんなに深刻なものとは思ってもみなかった。にゃあの余命はあまりにも短く、それまで抑えていた感情が
一気にこみ上げてくる。
せめて苦しませたくない・・・と思いながら帰って来るのがやっとだった。

にゃあの様子を見ていると、本当にもう何もできないのだろうかと悩んだ。
治療の可能性があるなら、にゃあ頑張ろう!!って言えるんだけど。
そうでないのなら、これ以上にゃあに危険な事や痛い思いをさせる事は
できない。にゃあが好きなように、自然に過ごせるように自分たちにできる限りの事をしようと思う。ただ、言葉で言うほど簡単に割り切れられなくて、毎日にゃあの事を考えると涙が溢れてくる。
お店にいても何も手がつかない。
自分がしっかりしなくては!と頭の中では解っているけれど、どうにも自分の気持ちを抑えられない。やっとミケとも仲良くなってきたのに・・・。
まだまだいっぱい幸せになってほしいのに・・・。
にゃあ、早すぎる・・・。
    3匹いっしょ明日は検査という日。
にゃあ、やっぱり元気がないね・・・。




ゃあと離れているのが心配で、その後もお店へ連れて行く。晴れた日は散歩をしたり、2階で日向ぼっこ。
その後段ボール箱の中でずっと寝ている。でもだんだん呼吸が苦しそう。気管や食道も腫瘍で圧迫されているとの事だった。
お店の行き帰りも途中車を止めて休憩する。もう無理かな・・・と思った頃、にゃあはご飯も食べなくなった。
人気のないひっそりした場所を探して、ただただじっとしている。眠っていても呼吸が苦しそうで、不安で不安でたまらなくなる。
ずっと側にいたいけど、にゃあはそれも煩わしそうだった。幸いミケがずっと付き添いをしてくれていた。
何かあったらミケが教えてくれるだろう。そう思うと、にゃあと距離を置く事もできた。

少しでも何か食べなきゃ!と思ってシリンジで流動食をあげてみる。でも嫌がって何度も顔をそむける。
無理矢理ほんの少しの流動食を口に入れる。そんな事を何度かやってみたけれど、そのうち私を避けるように、どこか別の場所に移ってしまう。本当に嫌なんだ・・・。そっとしておいてほしいんだと思う。
でも、丸みのあったにゃあの身体がだんだん痩せていく・・・。どうしたらいいんだろう。

飯を食べなくなっても、にゃあはお水だけは飲んでいる。もしかしたら?と思って、缶詰のスープだけあげると飲んだ!
驚く位何杯も飲んだ。お腹も落ち着いたのか、その後ぐっすり眠っている。それ以来、強制給餌は止める事にした。
もちろん栄養は足りないと思う。でも、食べたくない物を無理やり口に入れられるより、自分の意思で食べて(飲んで)いる方が
本人にとってはいいかなと。不思議とその日から茶の間で過ごす時間も多くなる。

その夜、枕元にいたにゃあが布団の中に入ってくる。普段も滅多にそんな事はしないんだけど。
私が留守していた後とか「淋しかったよ!」という感じで、胸の上に覆い被さって寝る事がある。
この日はお腹の辺りにぴったりもたれかかっていて、こうしてにゃあと一緒に寝るなんて本当に久しぶりだった。
朝目が覚めても、にゃあはまだ私の腕枕でぐっすり眠っている。そんな姿を見ていると、にゃあにとって今一番必要なのは、
こんな風に心休まる時間なのかもしれない・・・と思う。なかなかにゃあの状況を受け入れられず悲しんでばかりいたけど、
にゃあは毎日せいいっぱい生きているんだよ、と言いたかったのかもしれない。
にゃあの今の時間を大切にしていきたいなあとやっと心からそう思えるようになった。

にゃあ 
にゃあ、またお散歩に行こうね!
ゃあの病気が解ってからもう1ヶ月。
ご飯を食べられなくなって、急に身体も小さくなってしまう。今は毎日少しずつお水と
スープを飲んで、一日の大半は横になって過ごしている。
今日は天気も良くて、病院から帰った後、一緒にお向かいの畑まで散歩をする。
堆肥用?の海老の頭を見つけて、かじり付こうとするのでびっくりする。
でもそれが刺激になったのかも?
今日は細かくほぐしたさんまや缶詰の身もほんの少し食べていた。
ただ、この先さらに病気が進行すると、にゃあもそして自分も辛いな・・・と思う。
恐いな・・・とも思う。それでも、どんな状況になるか解らないけれど、ひとつひとつ
自分なりに受け止めて、にゃあとしっかり向き合っていこうと思う。

                               (2004年6月11日 記)




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